外靴に履き替えて校門を出ると、


「梁ちゃーん」


……追いかけてきたのは、アイツ。


「帰っちゃうの?」


なんで来るの?


「……うん」

「じゃあボクも帰ろっと」

「あんた、今日のヒーローでしょ」


主役が帰ってどうするの。


「違うよ」

「違うって……あんなに点稼いでおいて……」


クイッと顎を持ち上げられる。


「っ、なにす……」

「ボクは梁ちゃんだけのヒーローだよ」

「ば……バカなの!?」


恥ずかしげもなくそんなこと言って。

つーか、顔近いって。


「しっかり見てくれた? ボクの活躍」

「見たくなくても見えるレベルに目立ったことしてたよね」

「よかった。梁ちゃんに、見てもらえて」


長い睫毛で縁取られた、

くっきり二重の綺麗な目を少し細め笑う。


……そんな嬉しそうにしないでよ……。


「離せ!」


手を振り払うと、グイっと今度は腕を引き抱き寄せられた。


「離せって言ってんのに……余計くっついてどうすんの」

「元気チャージ」

「はぁ?」

「もう、くたくただよ」

「……暴走したせいでしょ」

「暴走させたのは、誰?」

「……知らないよ……」