ヤンデレくんとツンデレちゃん

アイツは背が高いから有利だ。

軽快な動きでボールを奪うと、


「入ったぁ!!」

「さすが、愛くん」


――狙ったシュートは外さない。


シュートを決めたあと、どっと黄色い声があがる。


認めたくはないが、あの変人、

バスケしてるときは……クソカッコイイ。


何度も言っているが、

アイツは口さえ開かなければイケメンだ。


『全部梁ちゃんへの愛だよ』


さっき、そんなことを言っていたっけ。


ほんと……バカ。


ゴールを決めるたびに、あたしを見てくる。

いちいち見るな。恥ずかしい。


ドヤ顔やめろ。

あたしはいいから前みろ、前。


ああもう試合中に手を振るな。

投げキッスはもっとやめろ。


「めぐむくんも凄いけどさ」

「御影くんもヤバイよね?」


御影くん?

御影くんって、誰だっけ。


「御影くんって……?」隣にいる千穂にコッソリ聞くと、「委員長の御影くんだよ」と教えてくれた。