……で。


「なに並んで歩いてるの」

「ボクの隣は梁ちゃんの特等席だからさ」

「予約してないけど。てかそれ、助手席とかだとカッコいいかもだけど歩くときまでいる?」


すると、真顔になるアイツ。

え、なに。

もしかしてまたあたし……

コイツのスイッチ入れちゃった?


「ボクの助手席に乗りたいの!? ごめん、まだ免許とれないまって……18になったら最速でとるから待って!?」

「いいよ、とらなくて。別に乗りたくないし」

「そんな遠慮しないでいいよ。乗りたい車はなに? パパにお願いしておくね。いっそうちの別荘に行こうか、そうしよう。私道ならいくらでも乗り回せるもんね。何泊泊まる? 夏休み利用すれば1ヶ月はかたいよね。ああ、そんなことしちゃボクたちの愛が一層に育まれる……」

「シネ」


いま、隣で笑ったかと思ったら青ざめて

かと思えばニタニタしている

頭がどうかしちゃってるコイツの名は、


闇雲 愛(やみくも めぐむ)。


その名の通り、やみくもにあたしに愛を向けてくるヤツ。