「……かえり、気をつけてね」

「え?」

「遅くまでほんと、ありがと」


そういうと、なんだか照れくさくなり


前を向いてエントランスをくぐる手前で


――声が、聞こえた。


「好きだよ。梁ちゃん」


……え……?


「大好き」


もう一度振り返ると

満面の笑みのアイツがそこにいて


「いつでも甘えて」


不覚にも、王子様に見えた。