「行こっか、梁ちゃん」
「……どこに?」
「お祭り」
「!」
「全然連絡できなくてごめんね。見ての通り、ここに閉じ込められてた。電話も取り上げられてしまってね」
「あたしは別に……」
「寂しかったよね?」
「…………」
寂しくなかったと言えば嘘になる。
愛のことを考えない日は、なかった。
当たり前のように愛してくれたあなたが
あたしの前から消えるなんて
寂しいどころじゃ、なくて。
(でもそれを伝えていいの?)
「ボクは死にそうなくらい寂しかった」
「っ、あたしも……、寂しかった」
すると、愛が目を見開いた。
「やばいよ梁ちゃん。その顔はやばい」
あたし、どんな顔してた?
「やっぱり脱がしてもいい?」
目を細め、微笑んで見つめてくると
「心配しなくても。次は、ボクが着せてあげるから。ね?」
浴衣の上から身体を撫でられる。
「……っ、お祭り行くよ!!」
「えぇ……。生殺し? 不完全燃焼?」
「知るか」
「それじゃあこのあと車の中で、」
「アホか!!!」
「あれ。梁ちゃん、いつもバカっていうのにアホは新鮮だね? キレッキレだね!」
「どっちでもいいよ、もう。はやくお祭り行くよ」
「はーい」


