忘れる? 愛を?


「男なんていくらでもいるでしょ」


いくらでも?


「……イヤです」

「!」


愛は、愛だ。

他の誰でもない。代わりなんていない。


「愛と、約束したんです。夏休みにお祭りに行こうねって。それから、連れて行ってあげたい場所があると言ってくれたんです」

「あのねぇ。愛は忙しいの。あなたに使う時間なんてハッキリいって勿体無いし、そんな約束もう覚えてないから」

「……信じてます」

「だったら聞くけど。最近あの子から連絡あった?」


――!!


「ないんでしょ?」

「それは……」


スーパーの袋をつかむ手にギュッと力が入る。


「あなたなにか取り柄ある?」

「……いえ」

「平凡で。なんにもないじゃ、あの子にはふさわしくない。気まぐれで構われていただけよ。諦めなさい」