昨夜の出来事は、思い出しただけで恥ずかしすぎる。
顔でも洗ってサッパリしてこよう……。
洗面所までやってきて、鏡を見てなにかに気付く。
――首筋の、赤いあと。
「……待って、」
シャツをめくり上げて唖然とする。
身体の至るところについていたから。
「……っ、あいつ……」
愛は、自分が姿を消したあとも
あたしに簡単には消えない痕(あと)を残していった。
いつの間にこんなに……。
“梁ちゃんはボクのだよ”
そう言われてるような気がしてならない。
「……バカ」
そっと痕に手で触れてみる。
愛のことが愛しく思えてならない。
――次、いつ、会えるの?
「……あいつの言うとおりだ」
飼いならされているのは、あたしの方。
どんどんあいつのペースに惑わされている。
抜け出せと言われてもきっと、もう、抜け出せない。


