「ねえ、戻ろ……」 「そんなにあいつがいいの?」 あたしを見下ろす御影くんの顔が切なげで胸が苦しくなる。 だけど、あたしはコクリと頷いた。 「どこが? あんなワガママな男のなにがいい? いつも嫌がってたろ。あいつのこと」 「それは……」 「俺は板野の嫌がることしないよ。授業中にうるさくしたり、ストーカーまがいなことなんてしない」 「……御影くんの気持ち、わかるよ。あたしも最初は愛のこと、なんてキモいやつなのって思ってた」