異次元はオーバーすぎるけど、あたしにとって当たり前の景色(もちろん高校生の学園祭は中学より規模が大きくてわくわくしているが、想像くらいはできていた)が、未兎には予想外の連続で新鮮そのものなのだろう。


逆にあたしが未兎の生活を想像できるかといえばできないわけで。


だったら愛も……?


今、不思議な気持ちになっているのかな。


ふと愛を見上げると、


「げっ」

「ん? なに梁ちゃん」


……あたしをガン見していた。


見すぎだバカ。


「愛は珍しい? 出店とかって」

「んー。そうだねぇ。懐かしいねぇ」

「懐かしい? 見たことはあるの?」

「うん。小さい頃にね」


ふーん、お金持ちでもお祭り行くんだ。


「パパの会社の下請け会社が主催するお祭りに一度だけ足を運んだことがあるよ」


愛のお父さんって社長さんかなにかなのかな。

だとしたら気難しそうな人を想像してしまうけど、愛がこんな風に育ったくらいだからはじけていたりしそうではある。


「会社もお祭りあるの?」

「あるよ。こんな風に食べ物とか。あとは……金魚すくいも」