「それ、あの子が言ってただけでしょ?」

「でも……」

「闇雲くんの気持ちは、嘘偽りないんじゃないかな」

「…………」

「信じてあげたら? 普段の闇雲くんの態度見てたら、梁ちゃん大好きってわかるよ?」

「……無理だよ。ヒロインとか」

「わたし、応援してるからね」

「ジュリエット?」

「それもそうだし。2人のことも」

「なっ……」

「たぶん障害も多いけど。愛の力で乗り越えちゃえ」

「ちょっと、なにいってるの千穂」

「へへ」


にっこり微笑むと「じゃーね」と千穂が帰って行った。


なんなの千穂。


「あたしも帰ろうかな……」


一人で帰るのって久々だ。

いつもアイツと一緒だから。


「板野さん」

「!」

「一人?」


靴箱で鉢合わせになったのは、眼鏡くんだ。


「ああ。うん」

「闇雲は?」