「最悪だ……」
放課後の教室で、ため息をつく。
一週間後、ヒロインを選ぶ『ジュリエット争奪戦』に参加させられることになった。
辞退させてもらいたい。
「あれ? 闇雲くんはー?」
千穂が尋ねてきた。
「え?……ああ。花澤さんに引っ張って行かれた。帰ったんじゃない?」
「そっかぁ」
「ていうか、あり得ないよ。わたしがジュリエットとか。みんな花澤さんが適任だと思ってるよね、絶対」
「わたしは、梁ちゃんがいいと思うなぁ」
「だよね。花澤さんが……」
……は!?
「なにいってんの、千穂」
「似合ってると思うよ?」
「どこが」
「闇雲くんとペアは、梁ちゃんって感じ」
なんでやねん。
「……聞いたでしょ? 花澤さん、アイツの許嫁なんだよ」