あの男は菅原のことを好きでもなんでもない。
ただ思い通りに動いてくれる菅原のことが手放せないだけ。
本当に好きだったら自分で弁償しろ。そもそも女に金を払わせるな。
あと昼の焼きそばパンもてめえで並べ。
あの人混みを知ってて小柄な菅原に頼むとかどういう神経してんの?
結局、男は菅原が口答えできないことを知ってるんだ。
だから菅原を彼女にした。
そこに愛情なんて微塵もない。
「あと俺、来月誕生日じゃん?欲しいものがあるんだけど……」とクズが菅原の肩に手を回したところで、気づけば俺は菅原の腕を掴んで男から引き離してた。
「お、小田切くん……?」
「あ?誰だお前」
菅原と男の声が同時に俺へと向けられる。
俺、なにしてんだろ。こんなに正義感がある性格でもないくせに。
でも言わずにはいられない。
もう言葉が口先まで出かかっている。
「お前に菅原はもったいねー。
だから俺がもらう」
菅原の手を強引に引っ張って、その場から歩き去った。



