「そうだね。ごめんね、井上さん。」
「あたしもごめんね。」
「ごめんね、これからよろしく!」

あたしに対するごめんねの言葉を、みんなが順々に口にする。

「…」

違う…あたしが悪いんだ。

どうせまた転校するだろうからと、みんなと関わろうとせず、遠ざけていたのはあたし。

謝らなきゃいけないのは……あたし。

「ご…ごめ…なさい……。みんなは…悪くな…。あ、あたしが……」

なのに、上手く言葉にならない。

「さっきみたいにデカイ声出して言ってみろって(笑)」

佐久田くんが茶化した事で、また笑いが起こる。

その中心には、あたしがいたーーー。


それからあたしは、少しずつではあるけど、クラスの子たちと話すようになっていった。

今までしてこなかった分、ぎこちない会話しかできないけど。

この学校では、もしかしたら上手くやっていけるのかもしれない。

仲良くなってしまえば、いつかくる別れはきっと寂しいけれど、そんな事を考えて閉じこもっていたあたしは、すごく後ろ向きだったことを改めて知らされた。

それならどうか、このまで……。

少しでも長く、このまで。

そう願うことは、悪いことじゃないよね。