15歳、今この瞬間を

「ゆ…夢希ちゃ……っ!」

息を切らせて走ってきた小野さんから縄跳びを受け取ると、あたしは小野さんに笑顔で頷いてから、ゴールへと向かった。

あたしの前には4人…正直厳しいな。

そう思いながら走り始めて、すぐのことだった。

「行っけー夢希ーーーッ‼︎」

あたたかな匂いのする声が、聞こえた。

顔を見なくてもわかる、この学校に転校してきてから毎日聞いている声だから。

「夢希ーっ!」
「夢希ちゃぁーん‼︎」

佐久田くんの声に続いて耳に届いたのは、菊谷くんと小野さんの声。

それから聞こえてきたのは、

「頑張れー!」
「井上さーんっ!」
「井上ーーッ!」

クラスのみんなの声ーーー。

その全てが、追い風になる。


「…っはぁ……はぁ…っ……」

何とか挽回したものの、結果は2位だった。

「夢希ちゃんすごかったよぉ…わたしちょっと感動しちゃった……ぐす」