15歳、今この瞬間を

「え?なに?そんな小さい声じゃ、聞こえないし」

佐久田くんは、悪ガキみたいな顔でニヤニヤしていた。

「…」

確かにあたしの声は小さいけどさ、こういうこと言わなきゃもっといいヤツかもしれないのに。

「あっ、おい夢希!待てってば!」

あたしは佐久田くんを無視して、クラスの応援席に戻った。

小野さんがほわわんとした笑顔で迎えてくれたけど、それも適当にかわして。

「次の次、夢希の借り物障害物競争じゃない?」

菊谷くんに言われプログラムを確認すると、本当にそうだった。

次の次ってことは、これから始まろうとしている競技が始まったら、スタンバイしなければいけない。

「頑張ってなー」

「…」

ホントに今日はヒマなしだ。


あたしの出る借り物障害物競争は、まずハードル走があって、その先にあるマットの上で前転をくり返し、竹馬、網くぐりをしてから、借り物をしてゴールするというもの。