15歳、今この瞬間を

「夢希の母さんって、やっぱおもしれーな!」

見上げた佐久田くんは笑顔で、あたたかな太陽の匂いがしたーーー。


「そうかな」

あたしは顔をしかめた。

「そんな顔するなって(笑)。ま、夢希の事情は置いといて、少なくともオレには明るく楽しいお母さんに見えるけど?」

「……」

夢希の事情ーーーか。

佐久田くんは、まるで、これまでのあたしを見てきたかのような言い方をしていたけど、それが的外れでないから、あたしは何も言えなくなった。

しかめっ面は、まだ直らなかった。


あたしたちが割り当てられた仕事のひとつは、"玉入れ〜逃げるカゴ〜"という2年生の競技のカゴ係で、背中にカゴを背負って走り回るというものだった。

あたしの出る競技もそうだけど、この学校は何で変わった競技ばかりなんだ。

フツーに徒競走とかやればいいのに。

だいたいカゴだけでも結構な重さなんだから、女子に背負わせないでほしかったよ。