スマホの画面の向こうに、佐久田くんの笑顔が見えたような気がしたのは……気のせいにしておこう。
だって、あたたかな匂いがして、不思議な気持ちになるんだもん。
自分が、丸みを帯びてくるのがわかる。
てか"嬉しかった"だなんて……佐久田くんは、あたしがクラスの子たちと話さない事を、気にしてくれていたのかな。
そんなこと気にしなくていいのに…あたし自身の意思なんだからーー。
そうして、体育祭当日がやってきた。
青空の下、校長先生や来賓の人たちの話が続く退屈な開会式が、さっきやっと終わったところ。
「夢希、行こうぜ」
「…」
あたしは佐久田くんに声をかけられて、渋々立ち上がった。
「あれー?夢希ちゃんどこ行くの?」
「体育委員だから」
「あ、そっか。頑張ってね」
そう言って手を振って、あたしを見送っているのは小野さんーー体育祭までの1週間で、あたしのことを"夢希ちゃん"と呼ぶようになっていた。
だって、あたたかな匂いがして、不思議な気持ちになるんだもん。
自分が、丸みを帯びてくるのがわかる。
てか"嬉しかった"だなんて……佐久田くんは、あたしがクラスの子たちと話さない事を、気にしてくれていたのかな。
そんなこと気にしなくていいのに…あたし自身の意思なんだからーー。
そうして、体育祭当日がやってきた。
青空の下、校長先生や来賓の人たちの話が続く退屈な開会式が、さっきやっと終わったところ。
「夢希、行こうぜ」
「…」
あたしは佐久田くんに声をかけられて、渋々立ち上がった。
「あれー?夢希ちゃんどこ行くの?」
「体育委員だから」
「あ、そっか。頑張ってね」
そう言って手を振って、あたしを見送っているのは小野さんーー体育祭までの1週間で、あたしのことを"夢希ちゃん"と呼ぶようになっていた。



