15歳、今この瞬間を

「そうだよねー、違うよね。本当に何から何までごめんね」

そう言って小野さんは、ふにゃっと笑った。

なんか、小野さんとあたしのお母さんのほわほわした雰囲気が、少し似てるかも。

「ふふ…」

「あ!ほら、笑った!可愛い!」

「え…」

小野さんがお母さんと重なって面白く思ったあたしは、いつの間にか声に出して笑っていたみたいで。

「や、やめてよさっきから。可愛いとか言うのも、やめて」

なんかもう、色々恥ずかしい……。


"そんな顔するなって、かわいいねって意味で言ってんだから"

「…」

なぜだかあたしは、菊谷くんの言葉を思い出していた。


「井上さんと、色々話せて良かった。また明日ね!あ、わたしの家、もう少し行ったとこなんだけど、今度遊びに来てね!」

「じゃあね」と元気に手を振る小野さんと別れたあたしは、マンションのエントランスを抜けた。