15歳、今この瞬間を

何で一緒に帰らなきゃいけないんだ……だいたい帰る方向逆じゃん。

ヘラっと笑う佐久田くんの顔をよく見れなくて、あたしはくるりと背を向けた。

うまく言えないけど、佐久田くんの笑顔は性格そのままって感じで真っすぐすぎて…直視出来ない時がある。

「夢希もう帰んのー?」

「…」

一歩、足を前に出そうとしたら、今度は菊谷くんに呼び止められた。

相変わらずいいチームワークしてんじゃん…。

なんて感心している場合じゃない、転校してきてもうすぐ1カ月になるあたしだけど、やっぱり絡まれるのはいい気分がしないし、出来ればひとりで居たい…それなのにこの2人は本当に相変わらずなんだから。

仕方なくあたしは、3人で教室を出た。


「じゃあな〜夢希!」

校舎を出ると。佐久田くんは子供みたいに手を振ってきた。

「……」

眩しくてーーー直視出来ない。

6月の太陽は、まだ高かった……。

ひとり歩きだしたあたしの身体は、その内側からあたたかだった。