15歳、今この瞬間を

「小野さんの場合、早く走ろうとすると縄に引っかかっちゃうから、丁寧に跳ぶことを意識してみて」

「うんうん、それから?」

小野さんはまるで、紙とペンを持ってメモでもとっているみたいだった。

「……失敗して足が止まる方が、もったいないから。焦らなくていいと思う」

「ありがとう!わたし出来るような気がしてきたよ!ねぇ、縄跳びの受け渡しは?今からやろうよ!」

小野さんの笑顔はふんわりと可愛らしく、キラキラとしていた。

「…」

何でみんな、こんな風に笑えるんだろう…。

言われるままあたしは、体育の時間が終わるまで小野さんと練習をした。



キーン…コーン……

「夢希、一緒に帰ろうぜ〜」

佐久田くんはいつものように、帰ろうとするあたしを呼び止める。

「……」

あたしは無言のまま佐久田くんの顔を見ると、そのまま席を立った。

「あれ、待っててくれないパターン?」