15歳、今この瞬間を

勉強が苦手なあたしが、少しやったくらいで上位に入れるわけがない。

あたしにとっても、無縁の場所だ。

「そうかー、来てすぐだったし、仕方ないな。次があるよ」

「うん」

それは関係ないけど、あたしは返事だけしておいた。

教室に戻ると予鈴が鳴り、ひとりふたりと席に座り始める。

「なかったろ?」

まるで見てきたかのような佐久田くんの言葉をシカトして、あたしも席に座った。

「夢希が勉強苦手そうなの、何となくわかるから。オレら似てるとこあるじゃん?」

それは似ているとか、そういう話じゃないでしょ。

菊谷くんみたいに、優しい言葉のひとつも言えないのか佐久田くんは。

「やめてよね」

あたしは、そっけなく突っぱねた。


佐久田くんは、いつも直球だ。

それがいいと言う人もいるのだろうけど、あたしはそうは思わない。

どこにでも土足で入っていく感じ?踏み入れて欲しくない場所にも、平気で入ってきそうだ。