15歳、今この瞬間を

170センチもある菊谷くんじゃ、相手があたしじゃなくても小さく感じるでしょ、絶対中3男子の平均身長上回ってるよ。

それでも……あたしをからかった後から、歩幅を縮めて歩いてくれていて、きっとそういうさり気ないところも、モテる要素なんだと思った。

「ほら、あそこ」

菊谷くんが指をさしたあたりには、なにやら生徒たちが群がっていた。

みんなの視線の先は、掲示板に貼られた紙があった。

「あそこに、この前のテストの結果が貼り出されてるんだ。あ、上位50名だけね」

「……」

だから佐久田くんは、関係ないだなんて言ってたのか。

確かに、上位50名に入るほど頭がいいとは思えない……あたしも人のことは言えないけど。

ひとクラスあたりの人数から考えると、3年生は200人ちょいいるはず…50位までに入れれば、まずまずの高校に行けたりするのかな。

「うわ、俺下がったわ。夢希は?」

下がったと言った菊谷くんだったけど、その名前は12位の欄にあった。

「…ないよ」