15歳、今この瞬間を

「夢希ってちっちゃいよね。ちゃんと隣歩いてくれない?俺見失うわ(笑)」

それはとても失礼極まりない発言でーーーあたしでなくても腹を立てること間違いなしだろう。

「……ッ」

でも何も言い返せなかったのは、菊谷くんが突然あたしの顔を覗き込んできて、緊張からか驚きからか身体がかたまってしまっていたから。

「そんな顔するなって、かわいいねって意味で言ってんだから」

「…‼︎」

菊谷くんのこの一言で、あたしの頭は爆発した。

こういうシチュエーションに免疫がないあたし……反応に困るとかそういう次元の話じゃない。

「き、菊谷くんの背が…高いんだよ」

「あー、そうかも。でも夢希もちっちゃいし。何センチ?」

そんなあたしに気付いているのかいないのか、淡々と会話を進める菊谷くん。

「ひゃ……150センチ…」

「俺と20センチも差があるのか、そりゃちっちゃいわけだ(笑)」

なんだよさっきから、ちっちゃいちっちゃいって人のこと…。