15歳、今この瞬間を

「じゃあ俺と夢希で行ってくるわ」

「え……ちょ、なに…」

訳のわからないまま菊谷くんに腕を引かれ、立ち上がるしかないあたし。

こんなとこで自己中発揮しないでよ。

「待って、どこ行くの…?」

「来てみればわかるから」

ちょっとみんな見てるよ…あたしの腕から手を放して。

なぜか得意げな菊谷くんについて行くしかなかったけど、佐久田くんは本当に席を立つ様子がなく、「じゃあな」と言って手をあげていた。

「わかった、行くから…放して」

「よし、そうこなくっちゃ」

教室から出たところで、ようやく解放されたあたし。

ふぅと息を吐いた。

「夢希ってさ、」

あまり目立たないように菊谷くんの後ろを歩いていたら、ふいに振り返って話しかけてきた。

あたしが何も言わないでいると、菊谷くんはくすくすと笑いだした。

「…なに?」