15歳、今この瞬間を

身体を動かすのは好きだ。

余計なことを考えないで済むし、心地良い疲れを感じる頃には、気分が晴れてくる。

「夢希やるじゃん!」

汗をぬぐっていたら、佐久田くんの声が飛んできた。

「…」

「ありがとう!」とか言えればいいのかな……でも、言いたいわけじゃないから。

「シカトかよーっ」

声は、更に飛んでくる。

それはまるで、太陽の光が降りそそぐようだった。

みんなの視線が集まっても気にしていない佐久田くんーーあたしが気にするからやめてくれ。


そんな感じで、佐久田くんと菊谷くんに絡まれながら、1週間ほどが過ぎた。

「夢希、時間ある?俺らと結果見に行こうよ」

お昼休み中、菊谷くんがあたしのところ…もとい、あたしの隣の席の佐久田くんのところに来ていて、あたしは何やら誘われたみたい。

「オレは別に行かなくてもいいけど。どーせ関係ないから」

何のことだかサッパリわからないけど、佐久田くんが遠慮していた。