15歳、今この瞬間を

そんなことより、あたしは気付いてしまったことがある。

「俺のヤマプリント、どうだった?」

「フツーに難しいわ。まぁ毎度のことだけど」

「ロウに聞いてんじゃないよ、夢希に話してんの」

「あ、うん」

あたしは視線が気になって、返事どころではなかった。

それは、転校生のあたしに向けられたものではなくて。

だいたいクラスのみんなと関わらなさすぎて、あたしがつい最近転校してきたなどということは、なかったような事実になっているかもしれない。

「連絡こなかったから気になってたんだ」

「…大丈夫、だったから」

ほらまた、ヒソヒソとやってるよ。

「それなら良かった」

と言って爽やかな笑顔を見せる菊谷くんを、クラスの女子の一部は見ているのだ。

少し長めのサラサラの髪の毛に、目鼻立ちのはっきりとした整った顔の菊谷くん、背も高いからモテそうだな…って、最初に感じた菊谷くんの印象が蘇ってきた。