15歳、今この瞬間を

「こんな時間にいらないし」

あたしの小さな声は届かないけど、ドアに向かって返事をした。

きっともっと言い方があるだろうに、こんな風にひねくれるようになったのは、いつからだろう。

てか休み休みではあったけど、珍しく勉強らしい勉強をした日だった。

途中で何回か、佐久田くんとラインでやりとりをしながら…でも、答えに困って菊谷くんに連絡をすることはなかった。

勉強をしたりラインをしたり、今までしてこなかったことをするのって、やっぱり少し気力のいることだった。

「…ふぅ」

天井を見上げ、息を吐く。

でもきっと周りのみんなは日常的にしていることで、あたし自身が閉鎖的なんだと気づく。

だけど、あたしは今のままでいい。

どうせまた、ここ名古屋からも離れることになるのだから。

「……」

体育以外で良い成績をとったことがないあたしにとって、明日のテストはどうでも良かったはずなのに、勉強してしまうと多少なりとも結果を期待してしまうから不思議だ。