15歳、今この瞬間を

《おはよう。俺のヤマプリントどう?わからないところがあったら連絡してね》

「…」

今日は菊谷くんからもラインがきて、それは相変わらず爽やかな風が吹いてくるようだった。

それなのにあたしときたら、解答用紙つけてくれたら良かったのに…なんてことをまだ思っていたりするから、かわいくない。

でも…またひとつ増えたトーク画面を見つめるあたしは、少しふわふわとしていた。

不思議な感情が、わき上がる。

それはきっと、親しげに接してこられたり、親切にされたりすることに慣れていないせいだと、自分の中でそう解釈していた。

明日は中間テスト、もし結果が良かったら菊谷くんにお礼を言うべきかな。

「…」

ラインの返事もちゃんと出来ないあたしに、そんなことが出来るのだろうか。


「夢希ちゃーん、ケーキ食べるー?」

リビングにいる、少し前に帰ってきたお母さんの声が、小さく聞こえてきた。

もう夕方の5時じゃん、こんな時間にケーキだなんて少しは考えてよね。