15歳、今この瞬間を

佐久田くんと菊谷くんはきっと、転校生が物珍しくて近寄ってきているだけ。

偶然にも誕生日が同じなもんだから、余計にだろう。

でも今だけーーーそういうのを、あたしは何度も経験してきたから。

《夢希、今日も一緒に勉強やらない?リョウ先生は来れないけどさ》

スマホの番号なんか交換して…でもそのやりとりも、今だけだから。

ある程度話したら、興味は薄れていく。

みんな、そうだったから。


《やらない》

やっと出来た友達だって、離れてしまえばそれまで。

「……」

あとに残るのは虚しさだけだと、あたしは知っているから。

だったら、あたしからは近寄らない。

現に佐久田くんと菊谷くん以外のクラスメイトたちも、あたしが話さないから誰も話しかけてこない。

次に顔を見る時には、もう話題にも上がらないのだろう。