「俺…あの日ロウとやり合ってから、あんまり苦しくないんだ。あんなに辛かったのに、不思議なくらい」

「そうかーー」

清々しい表情のリョウくんを見て、リョウくんの中の止まっていた時間が、再び動き出したのだと確信した。

「ありさが見ていると思ったら、ダサい俺を見せられねーからな。恥ずかしくないように、生きる」

「そうだな」

多くは話さないロウだけど、ものすごく嬉しい気持ちが伝わってくる。

「同盟、やり直すか?俺と、ロウと夢希でーー」

"8月1日同盟"をーーーもう一度。

「ぅう…リョウくん……ぐず…」

「なんで夢希が泣くんだよ。おい彼氏、泣きやませろ(笑)」

「勝手に泣いてんだから、オレ知らねーよ(笑)」

2人の笑顔は、もうお芝居なんかじゃなかった。

あたしはそれが、たまらなく嬉しかった。

きっと2人はやり直せるーーーあたしはそう信じることにした。

海風が、ザワザワと波音を立てたそれは、笑い声みたいに胸に響いた……。