15歳、今この瞬間を

「そんなこと、ない…」

ありさちゃんは、2人からとても愛されていたーー。

それはもう、たまらなく大好きで、絶対に失いたくない存在だったに違いない。

とても、愛(かな)しい想いーーー。


「ロウもリョウくんも、ありさちゃんのために一生懸命だったんだよね…だからロウは、最低なんかじゃないよ……!」

結果としてそうなってしまっただけーーなんて思えるのは、あたしが当事者じゃないからだろう。

「…ありがとな。そろそろ帰ろっか」

「……」

頷いたあたしはもうそれ以上言えなくて、ロウについて水族館から出た。

ロウも、これ以上話すつもりもないのだろうと、思った。


「寒……っ」

外は海風の影響で風が強く、とても寒かった。

名古屋港水族館という名前がついているくらいだから、海が近いのだろう。

「オレのマフラー使う?」

「え、いいよ、あたしがマフラー借りたら、ロウが寒くなっちゃうじゃん」

実は気になっていた、ロウは学ランの上に、薄いウインドブレーカーとマフラーを巻いているだけだったんだ。