15歳、今この瞬間を

「なんで夢希まで泣いてんだよ……」

そう言ったロウの口角が、少しだけ上がったように見えた。

「ありがとうな。もう少しだけ…続きがあるんだ」

ロウが、少し穏やかになったように感じて、あたしはきゅっと涙をぬぐった。

「中3になる前の春休み、突然ありさの親が揃って家に来たんだ」

何度訪ねて行っても相手にされなかったロウだけど、月の命日には必ずお花を届けていたという。

直接は受け取ってもらえなかったため、玄関先に置いて帰っていたそうだけど。

「まず、花のお礼を言われてさ。迷惑だって言われると思ってたから、スゲーびっくりした。それから…いつでも、手を合わせに……来てって……」

ロウも、目にたまった涙をぬぐっていた。

「号泣した」

「…っ」

「ありさはきっと、オレにだけ会えないで淋しい思いをしているだろうから。それに最期に大好きな場所に行けて、きっと喜んでいるだろう…って言ってくれてさ、」