「ありさは海やプールは禁止されていたから、憧れが強かったんだろうな。このイルカの水槽が大好きでさ…夢希みたいに、いつかイルカと海で泳ぎたいって、よく言ってたんだ」
入院生活が続いて、その気持ちが余計に大きくなっていったというありさちゃん。
そして7月のーーありさちゃんが亡くなった日、前から計画していた通りに病院を抜け出し、ここ名古屋港水族館へ向かった。
「オレはバカでさ、てっきりありさは大丈夫なんだと……元気になっているんだと思っていたんだ。バカだよな…ありさは多分、わかってたんだーー」
自分の最期をーーー。
「それなのにオレは、嬉しさが先行して何も見えていなかった…。この水槽の前で…ありさは……!倒れたありさやオレのおかしな様子に気付いた周りの人が、救急車を呼んでくれたりして……でも、ありさは…そのまま……っ」
「……」
ロウは、泣いていた。
泣いていることを否定するように、それはとても静かだった。
「それからは、過ぎていく時間に合わせて、オレは寝たり起きたりを繰り返すしかできなかった……」
入院生活が続いて、その気持ちが余計に大きくなっていったというありさちゃん。
そして7月のーーありさちゃんが亡くなった日、前から計画していた通りに病院を抜け出し、ここ名古屋港水族館へ向かった。
「オレはバカでさ、てっきりありさは大丈夫なんだと……元気になっているんだと思っていたんだ。バカだよな…ありさは多分、わかってたんだーー」
自分の最期をーーー。
「それなのにオレは、嬉しさが先行して何も見えていなかった…。この水槽の前で…ありさは……!倒れたありさやオレのおかしな様子に気付いた周りの人が、救急車を呼んでくれたりして……でも、ありさは…そのまま……っ」
「……」
ロウは、泣いていた。
泣いていることを否定するように、それはとても静かだった。
「それからは、過ぎていく時間に合わせて、オレは寝たり起きたりを繰り返すしかできなかった……」



