15歳、今この瞬間を

「おばさん、オレ荷物持つよ。それ重たそうだから。ケーキはまたにするよ」

「あらまあ、優しいのね〜佐久くんは。それじゃ、お願いしちゃおうかしら」

2人のやりとりに、ひとりホッとするあたしだった。

玄関のドアの前まで、ロウはお母さんの買い物した荷物を持ってくれた。

荷物を受け取りながら嬉しそうにニコニコしているお母さんに、複雑な気持ちになる。

「本当にありがとう。やっぱり男の子はいいわね〜。息子ができたらこんな感じかしら。またいつでもいらっしゃいね」

「あー…はい。でも、夢希が付き合ってんのは、オレじゃなくてリョウだから」

「え?なに?どういうこと??リョウって子が夢希ちゃんと…?ぇえ⁈」

突然舞い込んできた娘の情報に、お母さんは明らかにテンパっていた。

「じゃ、オレ帰ります。またな夢希!」

あたしは、小さく手を振った。

そうーーあたしの彼氏は、リョウくんなんだ。

ロウの言葉に、肩が落ちるのを感じていた。

「…」

外を見たら、ポツポツと雨が降りはじめていた。