15歳、今この瞬間を

「あれ?夢希の母さん?」

「……」

ロウも気づいたようで、そのロウの声に振り向いたお母さんも、当然あたしたちに気づいたのだった。

「あら夢希ちゃん…と、佐久くんだったかしら。何で2人でこんなところに……あらあら、あなたたちそういうことなの?まぁ〜いいわねぇ」

「…」

いやだお母さんってば、勝手に変な想像して勘違いしてない?

それにロウの名前だって、佐久じゃなくて佐久田だし。

相変わらずロウに失礼なんだから…。

「ごめん…ね」

あたしはロウだけに聞こえるように、小さく言った。

ロウは「大丈夫」と言うようにあたしに目配せをしてから、

「オレ、夢希を送ってきただけだから。これで帰ります」

「あらそうなの?おいしいケーキ買ってきたんだけど、食べていかない?」

「ちょっとお母さん…!」

お願いだから、そういうのやめて。

「じゃあーー」

えーーー。