15歳、今この瞬間を

「うん…」

リョウくんが家の中に入っていき、嫌でもロウに意識が行く。

会いたいと思っていたその笑顔が、目の前にあった。

「なんで…」

それ以上言葉が出てこなくて、あたしは少しずつ目に涙が溜まるのを感じていた。

「リョウからヤマプリント取りに来いって連絡がきたから、それで来たんだ。オレんち、すぐそこだからーーて、どうした?」

サラサラとーーーロウの声は、頬を撫でるようにして耳まで届く。

「だ、大丈夫。目にゴミが…」

慌ててタオルで目をこすり顔をあげると、あたしを心配するロウの顔が近くにあった。

「ホントに、大丈夫だから……」

「そうか?それならいいけど」

「…っ」

そう言ってからロウは、右手で首の後ろを触った。

その姿に、上がる心拍数を抑えられなくなりそうだった時、

「あったぞ夢希」

戻って来たリョウくんの顔をとらえたあたしは、現実に引き戻された。