15歳、今この瞬間を

「……」

あれ……スマホがないーー?

カバンの中も探したけど、やっぱりどこにも見当たらなかった。

「リョウくんちかな…」

それしか考えられなかったあたしは、仕方なく来た道を戻るしかなかった。


歩くこと15分強、やっとリョウくんの家の前まで来たあたしは、インターホンを押そうと指を伸ばしたその時ーー、

「…!」

「ぉわッ⁈」

突然、玄関のドアが開いて……目の前に、青空が…広がる。

「ロ、ウ……?」
「夢希ーー」

そしてほぼ同時に呼び合う、お互いの名前。

「え?夢希?帰ったんじゃーーー」

ロウの声につられるようにリョウくんがひょこっと顔を出して、あたしは気持ちが締まるのを感じた。

「あ、えと…スマホを忘れちゃったみたいで。それで、戻ってきたの」

「そうなのか?ちょっと見てくるから待ってろよ?」