全身で受けている風が、季節に反して心地よかった。
「あら、夢希ちゃんだったかしら、もう帰るの?」
声をかけてきたのは、買い物帰りだろうか、スーパーの袋を持ったリョウくんのおばあちゃんだった。
何回か顔を合わせるうちに、あたしとありさちゃんを見間違えなくなった。
「あ、はい。さようなら…」
「気をつけてね、さようなら」
リョウくんのおばあちゃんは、笑顔で隣のドアから家の中に入っていった。
ようやく寒さを感じるようになったあたしは、上着を着て歩きだした。
「……」
リョウくんは、帰るあたしを引きとめたりしない。
付き合っている相手となら、ずっと一緒にいたいとか思わないのかな…?
早々と帰るあたしもあたしだけど。
ブレスレットは、外したことの理由を考えておいて良かったーーもう、つけることはないと思う。
リョウくんに対して生まれた不信感が、拭えないあたしだから。
そして今日みたいな曇り空でも、見上げれば浮かんでくる、朗らかな空のような笑顔ーー。
「あら、夢希ちゃんだったかしら、もう帰るの?」
声をかけてきたのは、買い物帰りだろうか、スーパーの袋を持ったリョウくんのおばあちゃんだった。
何回か顔を合わせるうちに、あたしとありさちゃんを見間違えなくなった。
「あ、はい。さようなら…」
「気をつけてね、さようなら」
リョウくんのおばあちゃんは、笑顔で隣のドアから家の中に入っていった。
ようやく寒さを感じるようになったあたしは、上着を着て歩きだした。
「……」
リョウくんは、帰るあたしを引きとめたりしない。
付き合っている相手となら、ずっと一緒にいたいとか思わないのかな…?
早々と帰るあたしもあたしだけど。
ブレスレットは、外したことの理由を考えておいて良かったーーもう、つけることはないと思う。
リョウくんに対して生まれた不信感が、拭えないあたしだから。
そして今日みたいな曇り空でも、見上げれば浮かんでくる、朗らかな空のような笑顔ーー。



