15歳、今この瞬間を

正直、学力は転校してきたときのあたしくらい、S高より下のランクのN高あたりがせいぜいだと思っていた。

とくん……と、鼓動する。

「そうなんだー、S高ってけっこう人気なんだね。あたしも頑張らなきゃ!」

なんだか嬉しくて、声が上ずる。

おかしなテンションのまま、それに気付かれたくなくて喋り続けるあたしーー、

「ロウといえば、文化発表会で一緒にまわってた時、三浦さんって子に会ってさ〜」

「…三浦?」

あたしはまだ、リョウくんの表情が曇っていくことに、気がつかなかった。

「そう、三浦さん。あたしまた、ありさちゃんに似てるって言われたんだよ〜。ありさちゃんってどんな子……」

「……」

「だった…の……」

やっと、リョウくんの表情の変化に気づき、触れてはいけなかったと後悔したあたし。

「あ、あは…ごめん、関係、なかったね…こんな話」

気まずい雰囲気の中、どうしたらいいのかわからないあたしの言葉だけが、宙をさまよう。