ピンポーン……

翌日ーー土曜日の午後、鳴らしたのはリョウくんの家のインターホン。

「夢希、ちょっと待ってて。今行くわ」

「うん」

インターホン越しのやり取りを終えたあたしは、相変わらず立派な家だなと周りを見渡していた。

少ししてがちゃりと扉が開き、

「入って、寒くなかった?」

笑顔のリョウくんが姿を現した。

「ううん。風があんまり吹いてなかったから…」

「そう?それなら良かった」

「おじゃまします…」

相変わらず緊張してしまうあたしは、それだけで体温が上がっていくような気がしていた。

でも、もうリョウくんにドキドキしないーーそんな自分を、最近認めていた。

緊張してしまうのは、リョウくんの家が立派すぎるのと、今日は他にも理由があったから。

「なんか飲む?あったかいのでいいよね?」

「あ、うん。ありがとう」

「先に部屋入ってていいよ」

そう言われてリョウくんの部屋に入ると、ローテーブルの上には既に教科書やノートが広がっていた。