"水族館、行こうか"

「……」

もう、あれから1か月以上も経つのか…全然誘ってこないじゃん。

でも不思議と、あの言葉を社交辞令だと思うことはなく、ロウにはロウのタイミングがあるのだろう…あたしはそう思っている。

残ったジュースを飲み干したあたしは、ベッドの上に放ってあったスマホを見つめた。

「ラインでもいいって…言ったのに」

水族館よりも、全部話すって言っていた内容の方が気になっていて。

でも、心の準備とかきっと色々あるのだろう、ロウもそんなようなことを言っていたし。

あたしだって、全部を話すことになれば、相当な勇気が必要になると思うから。

過去は、話すことで記憶がより鮮明になって、辛いことほど、その事実を受け入れ直すのが苦しい作業になる。

葛藤しているのかもしれないーー…。

でもありさちゃんは病気だったって小野さんが言っていたし、そこまでたいした話でもないだろうーーーあたしはそんな風に、のん気に構えていた。