「別にって、ホントはそんなことないんじゃないのー?白状しろ〜」

「ないない。だいたいまだ中学生なんだから」

詰め寄り方が斎藤さんに似てきたな…なんて思いながら、そっけなく小野さんの相手をした。

「そっか〜。じゃあ何かあったら教えてね!」

「あはは。教えないよー(笑)」

でもやっぱり最後の一言は小野さんらしくて、思わず笑ってしまったのだった。

ぷくーっとふくれっ面の小野さんを見て、あたしは複雑な気持ちになる。

今のあたしは、リョウくんとキスをしたり、それ以上のことを望んでいるわけではない。

そういうことは、よくわからないけど……気持ちが通じ合えた時に、自然とそうなるものだと思っているから。

それに根拠はないけれど、リョウくんは本当は、あたしのことを何とも思っていないんじゃないかと思う時がある。

頭の中でチラつくのは、ありさちゃん。

彼女がリョウくんの中でーーーロウの中で、どういう存在だったのか……気になるのはそればかり。

"ありさが、過去になったことなんか…一度もない"

「……」

思い出す、ロウの言葉。