そして、不思議と表情が笑顔に変わる。

太陽に照らされている葉っぱが、キラキラと水面みたいに見えたーー。

「あ」

思わず声をあげたオレは、まだ不機嫌そうなリョウを見て言った。

「三浦に絡まれたわ(笑)」

「三浦に?」

「あぁ。三浦も、夢希のことありさに似てるって言ってたぞ」

「……」

リョウは、何も言わなかった。

何も言わずに目線を窓の外に移したリョウも、キラキラと揺らめく葉に海を見ているのかもしれない。

目を細めるその表情は、ありさのことを想っているようだったから。


ありさは、海が好きだったーー。

いつか海で泳ぎたいと、いつも言っていた。

……でもそれは、叶わなかった。

3年と少し前、もうすぐ12歳になろうとしていた7月、ありさだけが12歳になれなかった…。

三浦が言っていたようにーーー死んだんだ、オレのせいで。