「やったな夢希、水族館に行くの久々だろ?」

その気持ちは、すぐに打ち消された。

「……」

何故かとても嬉しそうな笑顔になったロウを見て、不思議と心があたたかくなる。

「それに、オレのこと知りたいんだろ(笑)?」

「…!」

ーーーあたしの身体中が、波を打つように鼓動する。

揺らいだのは、髪とスカートだけじゃなかったんだ……。

ロウのことが知りたいだなんて、自分で言ったこととはいえ恥ずかしすぎる。


「ちょっとあなた達、こんなところに居たの⁈もう閉会式が始まっているから早く入りなさい!」

声のする方を見ると、まっすーがピリピリとした表情をしていた。

きっと、あたしたちがなかなか来なかったせいだろう。

『すみませーん…』

あたしとロウは小さくハモった後、顔を見合わせて笑った。


ロウーーー……。

ロウのこと、あたし……リョウくんーーどうしよう…。

あたしは、あたしの想いが絡まっていくのを感じていた。

そしてその中を泳ぐイルカが、少しずつ解(ほど)いてくれようとしているのも…感じた。