「ゎ……え…⁈」
それが佐久田くんの腕の中だとわかったのは、笑顔と同じあたたかな匂いがしたから。
でも、なぜ今このタイミングで佐久田くんに抱きしめられているのか…そんなことを考える余裕など、今のあたしにはなかった。
「あるじゃん…」
「え……?」
「夢なんだろ?夢希の」
耳元ではっきりと聞こえたその声は、まっすぐにあたしを貫いた。
「あ…」
"今まで生きてきて、夢も希望もないのがあたし"
思い出したのはーーー自分の声。
転校2日目、佐久田くんと名前のことで言い合った時のものだった。
「わ…忘れてた。昔のことすぎて」
それにしてもよく思い出したな……てか、いつから忘れてしまっていたのだろう。
苦笑いをするも、佐久田くんの腕の中にいては意味のない表情だった。
「夢希らしいな(笑)」
「佐久田くん…苦し……」
佐久田くんの腕の力がさっきよりも強くなって、苦しさ半分ーーーあとの半分は、不思議と心地よさだった。
それが佐久田くんの腕の中だとわかったのは、笑顔と同じあたたかな匂いがしたから。
でも、なぜ今このタイミングで佐久田くんに抱きしめられているのか…そんなことを考える余裕など、今のあたしにはなかった。
「あるじゃん…」
「え……?」
「夢なんだろ?夢希の」
耳元ではっきりと聞こえたその声は、まっすぐにあたしを貫いた。
「あ…」
"今まで生きてきて、夢も希望もないのがあたし"
思い出したのはーーー自分の声。
転校2日目、佐久田くんと名前のことで言い合った時のものだった。
「わ…忘れてた。昔のことすぎて」
それにしてもよく思い出したな……てか、いつから忘れてしまっていたのだろう。
苦笑いをするも、佐久田くんの腕の中にいては意味のない表情だった。
「夢希らしいな(笑)」
「佐久田くん…苦し……」
佐久田くんの腕の力がさっきよりも強くなって、苦しさ半分ーーーあとの半分は、不思議と心地よさだった。



