「夢希それホントか?大丈夫か?」
あたしのことを心配するリョウくんの表情は、さっきとは違って穏やかだった。
「う、うん。もう大丈夫だから…」
とっさにウソをついたことに罪悪感を覚えながらも、トイレに行ったのは本当のことだし、なんて正当化しているあたしがいた。
「リョウくんたちは、もう見てまわったの?」
「ああ、もう見たよ。俺たちはここで作品解説とかしなきゃいけないから、3年生の分だけを見ればいいんだ。1人ずつまわってもすぐに終わるよ」
「へぇ、そうなんだ」
と、返事をしたものの、話題を変えたかっただけのあたしには、そんなことはどうでも良かった。
「じゃあ…残り見てくるから。行くぞ夢希」
「あっ、もうっ!待ってよ!」
たいして会話もしないまま、佐久田くんは軽く右手をあげながら教室を出ようとしていた。
あたしは今日、佐久田くんを追いかけてばっかりだ。
「なぁ夢希」
廊下を歩きながら、佐久田くんはあたしをちらりと見て言った。
あたしのことを心配するリョウくんの表情は、さっきとは違って穏やかだった。
「う、うん。もう大丈夫だから…」
とっさにウソをついたことに罪悪感を覚えながらも、トイレに行ったのは本当のことだし、なんて正当化しているあたしがいた。
「リョウくんたちは、もう見てまわったの?」
「ああ、もう見たよ。俺たちはここで作品解説とかしなきゃいけないから、3年生の分だけを見ればいいんだ。1人ずつまわってもすぐに終わるよ」
「へぇ、そうなんだ」
と、返事をしたものの、話題を変えたかっただけのあたしには、そんなことはどうでも良かった。
「じゃあ…残り見てくるから。行くぞ夢希」
「あっ、もうっ!待ってよ!」
たいして会話もしないまま、佐久田くんは軽く右手をあげながら教室を出ようとしていた。
あたしは今日、佐久田くんを追いかけてばっかりだ。
「なぁ夢希」
廊下を歩きながら、佐久田くんはあたしをちらりと見て言った。



