15歳、今この瞬間を

「あ、ホントだー、やっと来たぁ!」

リョウくんの言葉に、斎藤さんが反応していた。

「遅かったじゃんロウ、どこで油売ってたんだよ(笑)」

「…べつに?」

「……」

なにこの2人…なんてことない会話をしている風に見えるけど、なんか恐い。

顔が…目が、笑っていない感じ。

「あ…あたしがトイレ行ってたの!お腹痛くなっちゃって。ねっ?」

「おぉ。なかなか出てこないから、マジで参ったわ〜(笑)」

佐久田くんが調子を合わせてくれたことに、あたしはホッとしていた。

「あはは!夢希ちゃんそれホントー?大丈夫?」

あたしのウソに、声をあげて笑ったのは斎藤さんだけだった。

女子の学級委員の子は、あたしが来てから一言も話さない代わりに、刺さるような視線を向けてくるーーーあたしがリョウくんと付き合っていることを、きっと良く思っていないんだろうな。

「…」

そんなことどうでもいいあたしは、リョウくんの顔をそろっと見上げた。