15歳、今この瞬間を

気のせいならいいけど。

さっきの佐久田くん、目を見て話さないなんて、らしくなかったから…。

「ねえっ、ホントにケンカじゃないのー?」

あたしは、佐久田くんの背中を追いかけた。

「違うって言ってるだろー。気になるならリョウに聞いてみろよ」

「…いい、違うなら」

「じゃあさっさと行くぞ?」

「……」

違うと言われているのに、疑いたくなってしまう。

だって、同盟とかなんとか言ってるくらい仲良しの友達の彼女に、"気を許すな"なんて言う?

だいたい彼氏に気を許せなかったら、誰に気を許せっていうんだ。

気を許すなとか、あたしが戻って良かっただとか…よくわからない事だらけだ。

あたしの中は、上手くはぐらかされた感でいっぱいだった。

まぁ…突然泣き出したあたしも、佐久田くんからすれば意味不明なことだったと思うけど。

"夢希は、リョウの彼女だ"

「……」

訂正ーー佐久田くんは、いつでも全てお見通しみたいなところがある。