15歳、今この瞬間を

3年生の教室に向かう途中、渡り廊下から外を見ると、中庭が騒ぐ生徒たちで賑やかだった。

「みんなもう終わったのかなー」

「そうじゃね?」

「じゃあ、あたしたちも急がなきゃね。…あ、中庭に咲いてるのコスモスかな」

あたしは、ピンク色がかわいい中庭のコスモスを見たまま言った。

「……夢希」

あたしの明るいトーンの声とは逆に、曇り空のような声が背中にあたり、振り返る。

「ごめんごめん、早く行こう」

「そうじゃないんだ。夢希……リョウには、その…気を許すなよ」

「え……」

あたしの声色も、だんだんと曇っていく。

「何でそんなこと言うの…?意味わかんない」

「……」

だっておかしいでしょ、夏休みに話した時は"いいやつ"だって言ってたのに。

気を許すなーーー?

「あ、もしかしてリョウくんとケンカとかしてるの?席が前後なのに全然しゃべってないじゃん」

あたしは、ただの思いつきで言っただけだったのに、