15歳、今この瞬間を

「書いたか?次行こうか。」

「あ、うんっ…!」

あたしは、慌ててシャーペンをポケットにしまって、佐久田くんの後について行った。

10月に入って1週間ーーー半袖シャツから学ラン姿になった背中は、出会った頃よりも大きく見えた。

3年生ともなると、みんなの制服はどことなく着古した印象で、新品のあたしの制服が目立って仕方なかった。

佐久田くんは、この中学に入ってから…どんな事があったんだろう。

どんな毎日を、過ごしてきたんだろう。

「……」

あたしは、当たり前だけど何にも知らない。


文化部の展示をひと通り見て回り、あたしはまた佐久田くんの後をついて歩いた。

「…え、どうしたの?」

突然佐久田くんが、階段のすみに座りこんだのだった。

各クラスの教室がある棟と渡り廊下で繋がっているこの棟は、美術室や家庭科室といった教室が集まっているのだけど、この棟の端には、3階にだけ屋上に繋がる細い階段がある。